FESインターネット・フォーカス「よい雇用」公開に当たって

挨拶

ミヒャエル・ゾンマー  ドイツ労働組合総同盟会長

 

よい雇用は労働組合の主な課題の一つだ。それは100年以上前にもそうだったし、今日でも当てはまる。わが国、そして世界のどこかで低賃金を擁護している、多くの使用者や保守的な経済学者、そして政治家らは(自発的ではない)派遣労働や不安定雇用を近代的な雇用政策の成果と称賛するが、「よい雇用は雇用者にとってよいだけではなく、使用者や顧客にとってもよいことだということ、士気・満足度の高い雇用者だけが企業の競争力を保つことができること」を忘れている。

 

また、よい雇用とはよい報酬が支払われる雇用であることも忘れてはならない。だが、それだけではない。よい雇用は人を病気にしてはならないし、それは職業訓練やキャリア形成の機会を提供し、共同決定を心得ており、経営協議会によって擁護されている。つまり、我々の社会の豊かさは、よりよく、より人間的な『雇用の質』という形で表現されなければならない。そのために自由な労働組合はドイツで、そして世界中で闘っているのだ。

 

ドイツの共同決定は世界中で承認されている、社会的市場経済のトレードマークだ。低賃金セクターと不安定雇用が急速に広まるなか、「よい雇用」にも権威を持たせる必要がある。何十年もほとんど自明のことであった「よい雇用」が再び社会的市場経済のトレードマークにならなければならない。

 

だが今、我々が今、ドイツで直面しているのは社会民主主義が空洞化に向かう傾向だ。

 

経済は成長し、企業収益・役員報酬・利益配当は膨れ上がるばかりだ。その一方で、雇用者は以前のように成長の果実に与ることが難しくなっている。この傾向を労働組合や政治が覆さなければならないのだ。そこで、労働組合はハンス・ベックラー財団やフリードリヒ・エーベルト財団などシンクタンクの支援にも期待を寄せている。

 

DGBを中心とした労働組合は「よい雇用」に関して勿論、生業(なりわい)に重点を置いている。しかし、我々は『労働』という一般的な概念に家事・育児・介護労働や名誉職も含まれることを認める。ここでもよい労働の基準が設けられて然るべきだ。

 

この『フォーカス』で示される夥しい数の雇用事例はフリードリヒ・エーベルト財団の社会政策に関する取り組みが広範囲にわたることの現れである。

 

ミヒャエル・ゾンマー

ドイツ労働組合総同盟